衝撃!「着床の窓」問題

公開日: : 不妊 ,

「着床の窓が開いている時期に合わせた胚移植」によって着床率11→40%、臨床妊娠率19→60%、妊娠継続率0→75%

スペインのグループ発表の「着床の窓」に関する非常に衝撃的な論文です。ザックリまとめると、

  1. 子宮内膜から238個の遺伝子抽出
  2. そのうち4つの遺伝子が着床期診断に役立ちそう
  3. 胚移植の反復不成功の方の25%が着床の窓がズレてる可能性
  4. ドナー卵子による胚移植不成功の方17名に、ERAテスト(遺伝子検査)をして、着床の窓が開いている時期に合わせた移植をしたら、着床率・臨床妊娠率・妊娠継続率が飛躍的に上がりました

といった感じの内容です。

①Fertil Steril 2011; 95: 50(スペイン)
要約:ERA(子宮内膜受容能アレイ)として、子宮内膜から238個の遺伝子を抽出しました。

②Fertil Steril 2013; 99: 508(スペイン)
要約:①のERA遺伝子のうち4つの遺伝子を選択し、内膜日付診より優れた日付診が行えることを示しました。4つの遺伝子はいずれも着床期に発現が増強されるもので、GPX3(glutathione peroxidase-3)、FXYD2(FXYD domaincontaining ion transport regulator 2)、SPP1(secreted phosphoprotein 1)、MT1G(metallothionein 1G)です。

③Fertil Steril 2013; 100: 818(スペイン)
要約:胚移植が反復不成功である場合の25%の方で①のERAテスト異常を認め、着床の窓がズレている可能性を示唆しました。

④Hum Reprod 2014; 29: 1244(スペイン)
要約:2008年12月、2個胚移植2回が不成功に終わったとのことで、38歳の女性がクリニックを訪れました。夫婦染色体および不育症検査に異常を認めませんでしたが、部分中隔子宮を認めたため、手術で治療を行いました。その後、2個胚盤胞移植を2回(新鮮胚移植1回、凍結融解胚の自然周期移植1回)行いましたが、いずれも不成功でした。次に、ドナー卵子を用い、3日目の初期胚2個をホルモン補充周期で2日目に移植、3日目の初期胚2個を自然周期で3日目に移植、5日目の胚盤胞2個をホルモン補充周期で5日目に移植し、いずれも不成功に終わりました。本人の卵子で4回、ドナー卵子で3回の良好2個胚移植(合計14個)が全て不成功であるのは、子宮内膜の受容能に問題がある場合しか考えられないだろうとの判断により、①のERAテストを行いました。ホルモン補充周期で5日目の子宮内膜を採取し、ERAテストを行ったところ2日ズレており、ホルモン補充周期で7日目の子宮内膜を採取し、ERAテストを行ったところ丁度良い状態でした。このため、ホルモン補充周期で7日目に胚盤胞を移植する方針とし、胚盤胞2個を移植したところ双子の妊娠が成立し、出産に至りました。
その後、ドナー卵子による胚移植不成功(1~6回)の方17名にERAテストを行い、それぞれの着床の窓が開いている時期に合わせた胚移植を行いました。ERAテスト前は、着床率11%、臨床妊娠率19%、妊娠継続率0%(全て流産か化学流産)でしたが、ERAテスト後は、着床率40%、臨床妊娠率60%、妊娠継続率75%となりました。この17名のうち胚盤胞移植が丁度適切な時期は4.5日目と5.5日目が1名ずつ(5.8%)、6日目が3名(17.6%)、7日目が12名(70.6%)でした。

松林秀彦(生殖医療専門医)のブログ

反復着床障害の方のうち、70~88%の方が着床期がズレているというのは驚きです。現在、ほとんどの施設で胚盤胞移植は排卵後5日目に行われていますから、もしかしたら「着床の窓」問題が原因でなかなか妊娠できないという方もいるかもしれません。また、着床期がズレると妊娠しても継続できない(流産)というのも衝撃的です。

反復着床障害の原因としては、子宮内膜増殖症、粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内癒着、卵管水腫、胎児染色体異常頻度増加、生活習慣、血栓傾向(易血栓性)などが考えられますし、これが最良とは言えませんが、診断の一つとして、子宮内膜遺伝子検査による着床期診断?が早く臨床現場に登場してくれるといいですね。

アキュア鍼灸院

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